代表挨拶

 2023年(令和5年)4月より城谷典保前理事長の後任として日本サルコペニア・悪液質・消耗性疾患研究会の第2代理事長を拝命いたしました。大役を仰せつかり身の引き締まる思いです。使命を全うすべく、全力を尽くす所存でございます。
 日本サルコペニア・悪液質・消耗性疾患研究(JSCW)は、サルコペニアや悪液質に代表される骨格筋量、体蛋白量が減少する病態への関心が世界的に高まるなか、これらの日本での診断基準や対策などについて、多領域、多職種の研究者、臨床家が交流できる場として発足しました。2014年に第1回学術集会を東京で開催以降、熱いディスカッションが行われる活気のある研究会に成長してまいりました。
 超高齢化社会を迎え、日本ではサルコペニアの疾患概念は急速に認知が進みました。他方、炎症を伴う慢性疾患関連性低栄養である悪液質は、日常診療において遭遇する頻度が高く、様々な苦痛の要因となり、生活の質や医療のアウトカムを悪化させていることが報告されておりますが、医療者間においても認識は低く、対応が不十分と言わざるを得ない状況にあります。悪液質は世界的にも、医療サイドが十分な対応ができていない“unmet needs”の代表的な病態の一つとされており、The Society on Sarcopenia, Cachexia and Wasting Disordersが設立され、認知度の向上、研究と教育の発展の中心的役割を果たしています。日本サルコペニア・悪液質・消耗性疾患研究会は、日本あるいはアジアにおける悪液質の概念の普及、診断の確立、早期対応の啓発を使命とし、海外の学術団体と交流しつつ活動を続けていきたいと考えております。
 研究会が担うミッションは、多くの方のご協力無くして、一朝一夕では成し遂げられるものではありません。さまざまな課題に対して理事、監事、評議員、会員の皆さまと力を合わせて取り組んでいく所存です。研究会の発展に皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

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一般社団法人日本サルコペニア・悪液質・消耗性疾患研究会
(愛知医科大学医学部大学院医学研究科 緩和・支持医療学
愛知医科大学病院 緩和ケアセンター 教授)
理事長 森 直治